この時代に、埋研で培われた考え方には 大きな特徴があります。それは、研究には 世界第一級の装置を用して最先端の間題に 挑もう、その装置は研究者の創意と工夫に よって 自ら作りあげよう、また狭い、分野に とらわれない自由な発想で他の研究機関や 異なる分野の研究者との協力を重んじよう、 というものです。 戦後、埋研にサイクロトロンが再建され たときにも、この伝統的な考え方が受けつ がれました。このサイクロトロンを用いて わが国ではじめて重イオン加速に成功し, 重イオン核物Uという新しい研究分野の発 展に人きく貢献しました。また、物性物理、 化学、工学,生物,農学など広い分野の研 究にも、サィクロトロンを積極的に利用す ることにつとめてきました。放射性同位元 素を用いた医療、放射化分析法の開発、原 子炉.核融合炉材の閉発など、今日の加速 器科学における重要課題の多くの研究がこ こで先導的に進められてきました。 このような伝統と成果をもとに、重イオ ン科学の一層の発展を期して計画されたの が、重イオン科学用加速器研究施設です。